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複数性はvarious perspectivesだけではない

ある個人が物事を見るあるいは考えるときに、多さ(複数性)が大切であると教育、科学的研究、法学、思想その他の分野で唱えられてきた。

この複数という点に関して、以前から私は、少なくとも3種類の複数性を区別すべきであると言っている。

1) 視点の複数性
2) 側面の複数性
3) 対象の複数性

これらは意味が異なるなるのに、それぞれを意味するのに同じ用語が使われていることが多い。
例えば、「多面的」という語は、1)にも2)にも使われている。「多角的」は1)にも2)にも3)にも使われている。
英語の場合にはそれぞれがどう表現されるのか私には確信はないが、1)の「視点」はperspectiveやpoint of viewと呼ばれていることが多い。2)の「側面」を表すのはaspectかと思うが、側面の複数性はmany-sidedとかmultilateralとかmultifacetedとかいう言い方がされていて(ある文脈で)これらが同じなのかどうなのかわからない。3)の「対象」が微妙なのだが、もし対象と方向を区別するならばそれぞれobjectとdirectionが対応する語かと思われる。しかし、上で控えめに3つとしているように、これらを区別することが何を意味するのか今のところ私には明らかではない(ここでは物事を考えるという文脈で話をしているので)。

3つの違いが明確になるよう日本語の用語をあてるなら、1)が多視点的、2)が多側面的(これが多面的と呼ばれるのがよいだろう)、3)が多方面的(これが多角的に一番合うかな)、というやり方がとりあえずの候補として挙げられる。

先日の研究会(私は欠席)で配布された資料を見せてもらったところ、Mさんの研究では多面的という語を使いその重要性を考察されていたが、その英訳ではperspectiveを使っておられ、これは私による上の語用と違っていてconfusableだと思われる。
Hさんは、彼女のCT研究の発表を初めて聞いたころの昔から、多面的と多角的を区別されていた。他の方の研究ではこのような区別は見たことがないから(もしあったらごめんなさい)、彼女は私をしてセンスがあると思わせる。

ちなみに、1)視点の複数性が、他者理解、自閉症、共感の研究の主流で重要視されていることだ。2)や3)も同じく幼児には難しいと思われるが、これらの間の関係を扱うという道に近づいているのが、領域一般的な認知能力(たとえばEF)との関係を見るもので、最近増えている(うちにも何人かいらっしゃる)。しかし扱い方はそれだけしかないはずはなくて、3つそれぞれ異なる能力であるという可能性もあるはずだが、そういう可能性の検討はまだ見たことがない。

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