« sympathyとempathy | トップページ | accessibility »

correlationism

Ned Blockが今度BBSで出す論文にて、ある種の意識研究のアプローチをcorrelationismと呼んでいる。これは簡単に言うと、現象的意識を研究する最善の方法は、科学的に突き止められる証拠(神経活動)と自己報告(Block流に厳密に言うと認知的アクセス)との相関である、というものだ。(そして私はそれ以外の方法を知らないので「それのみである」とも言えるかもしれない。)
Blockはさらに、metaphysical correlationism と epistemic correlationism を区別する。metaphysical correlationism とは、認知的にアクセスできないならそれ(現象的意識)は存在しない、と考える立場である。epistemic correlationism とは、認知的にアクセスできなくても現象的意識が存在している可能性はあるが、それは科学的に扱える問題ではない(つまりそんなことはわかりようがない)、という立場である。で、metaphysical correlationism はあっさりと間違っていると切り捨てられて、epistemic correlationism がこの論文での反駁対象として吟味されている。

この論文にてBlockは自らのこれまでの主張である現象的意識とアクセス意識の区別の根拠の一部になっている「アクセス意識なしの現象的意識の可能性」にふれるが、しかし私にとっての核心を通り過ぎて、machineryがconstitutiveな関係であるかどうかに焦点を持っていく。
おーい。
そもそもこの区別に同意しない人にはこの議論はまったくフィクションにしか見えないだろう。
そして、ここにこれまで書いた「意識」関連の記事から推察していただけると思うが、私もフィクションらしきものを読む一人である。この区別を未だ信じられない。いろんな人の例を読んでみたのだが、現象的意識とアクセス意識が区別されなければならないと確信させる説得的証拠を未だ見つけていない。もちろんBlockの論文で挙がっている例も全部私に対して効力がなかった。
そういえばDennettも現象的意識に(正確にはqualiaがターゲットのように思うが)懐疑的なようだが、その根拠が私とぴったり同一かどうかはわからない。彼の文章は私にとって読みにくいし、話したこともないし。
Chalmersもnatural supervenienceを認めているようだから(彼はlogical supervenienceだけを否定する)、その主張が刀を振るうのは科学者の関心からはるか遠くであり、私の立場とcompatibleなのかもしれない。が、よくわからない。
彼らはともかく、私にとってかの区別が信じられない理由は、現在のところ、その概念的区別が単に無意味に見える、ということである。「雌のニワトリ」と「めんどり」を区別することのように。だからまずPhenomenalとAccessの区別を認めて、片方は現実には存在しないなどと主張する、そういう立場すら私にとっては賛成できない。把握されつつも因果的効力を何も持たないものがあって、認知的アクセス可能なものとは独立している、と考えなければならないと思わせるようなcompellingな証拠がまだ私の手には無い。Blockが挙げているような証拠は私にとっては(彼の言葉を借りれば)phenomenal consciousness内の区別を示唆するものであるように見えるのである。私の鈍感さが原因ならば不勉強を反省するのみで済むのだが…。
さらには、それを把握し行動に反映することができながら因果的つながりを何も持たない(認知機能としてはどうなっていてもよい)ものが存在するという主張は、矛盾するか物理世界の因果的閉包性を破るかであるように聞こえる。後者ならばまだいいけどそれなら一元論でも随伴現象説でもないだろう。前者と同じ論点については青山さんも書いている

基本的にこのPhenomenalとAccess(あるいはPsychological)の区別は「そんなもの概念的に違うにきまっているだろ!」という直観に負うている(あるいはそのような概念形成を一連の哲学論者によって強制されている)。じゃあもしこれがmisconceptionだったら? 話はおしまいですね。

accessに関する区別についてもう少し書こうと思ったが別項にしよう。

|

« sympathyとempathy | トップページ | accessibility »

Δ 心理学の諸問題」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/26863/5980377

この記事へのトラックバック一覧です: correlationism:

« sympathyとempathy | トップページ | accessibility »