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2007年8月

一階述語論理の公理

述語論理には普通、公理として
∀xP(x) ⇒ P(y)

P(y) ⇒ ∃xP(x)
が含まれる。前者は全称例化、後者は存在汎化と呼ばれるものだ。

学生にとってこいつを理解するのは一癖あるようだ。かく言う私も、たいていこれに関する教科書の記述が不親切で、余計な仕事をさせられたのを覚えている。

上記を単純にくっつけて
∀xP(x) ⇒ ∃xP(x)
などとして、これを恒真だと信じてしまうと具合が悪い。専門家は、わかっているからこそ、そんなばかなと一笑に付すことができるのだが、学生にとってはそんなはずもなく、素朴な思考とあわせて、これが無条件に正しいと思う人は少なくない。この例に限らず、分野の先導者が教科書を作るのは難しい。構成を門外漢に任せたほうがよいかもしれない。

∀xP(x) ⇒ P(y) は、例化できる y があって初めて真である。この条件が満たされないなら、成り立つはずがない。この話は、全称量化が存在を含意しないことを理解しているかどうかというテスト問題作成のキーポイントと絡んでいる。

もうひとつ関連する話として、
∃xP(x)
∃x¬P(x)
これが同時に成立しうるのは素朴に理解できるようだが、
∀xP(x)
∀x¬P(x)
がともに成り立っても、端的に矛盾ではない。すべてについてPであり、かつ、すべてについてPでない。何か、押し問答のように聞こえるかもしれないが、そんなことはない。非常に明白なことである。
この辺が、論理と、その上に立脚する学問を理解できるかどうかのセンスに関わっている気もする。がんばって勉強している皆さん、あきらめないでね。

学者はいろんな世界を考えるのよ。それは、現実とかけ離れた無益で意味不明なことを考えているのではなくて、誰もがやっていることを洗練しただけ。あなたも毎日その世界について認めているのよ実は。自覚していないかもしれないけど。

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