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一階述語論理の公理

述語論理には普通、公理として
∀xP(x) ⇒ P(y)

P(y) ⇒ ∃xP(x)
が含まれる。前者は全称例化、後者は存在汎化と呼ばれるものだ。

学生にとってこいつを理解するのは一癖あるようだ。かく言う私も、たいていこれに関する教科書の記述が不親切で、余計な仕事をさせられたのを覚えている。

上記を単純にくっつけて
∀xP(x) ⇒ ∃xP(x)
などとして、これを恒真だと信じてしまうと具合が悪い。専門家は、わかっているからこそ、そんなばかなと一笑に付すことができるのだが、学生にとってはそんなはずもなく、素朴な思考とあわせて、これが無条件に正しいと思う人は少なくない。この例に限らず、分野の先導者が教科書を作るのは難しい。構成を門外漢に任せたほうがよいかもしれない。

∀xP(x) ⇒ P(y) は、例化できる y があって初めて真である。この条件が満たされないなら、成り立つはずがない。この話は、全称量化が存在を含意しないことを理解しているかどうかというテスト問題作成のキーポイントと絡んでいる。

もうひとつ関連する話として、
∃xP(x)
∃x¬P(x)
これが同時に成立しうるのは素朴に理解できるようだが、
∀xP(x)
∀x¬P(x)
がともに成り立っても、端的に矛盾ではない。すべてについてPであり、かつ、すべてについてPでない。何か、押し問答のように聞こえるかもしれないが、そんなことはない。非常に明白なことである。
この辺が、論理と、その上に立脚する学問を理解できるかどうかのセンスに関わっている気もする。がんばって勉強している皆さん、あきらめないでね。

学者はいろんな世界を考えるのよ。それは、現実とかけ離れた無益で意味不明なことを考えているのではなくて、誰もがやっていることを洗練しただけ。あなたも毎日その世界について認めているのよ実は。自覚していないかもしれないけど。

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Η 数理の諸問題」カテゴリの記事

コメント

>∀xP(x) ⇒ P(y) は、例化できる y があって初めて真である。

つまり「∀xP(x) ⇒ P(y) 」を公理とするには、例化できる対象 y が常に対象領域内に存在する(つまり対象領域は空でない)ということですよ。

投稿: 通りすがり | 2008年12月31日 (水) 10時16分

すべてのペガサスは羽のある馬である→ペガサスAは羽がある馬である
ペガサスAには羽は羽のある馬である→羽のある馬は存在する

からといって、
すべてのペガサスは羽のある馬である→羽のある馬は存在する
とはいえないということですよね

投稿: | 2009年6月17日 (水) 14時14分

本文が一回読んで理解できない。
コメント1つ目を読んで、ん?空集合か?
と思ってもやっぱりわからない。
コメント2つ目を読んで、
うおーわかった。yはあるけど、xは無いんだ!

>全称量化が存在を含意しない
とは、
すべての(全称量化)ものと言ったとして。
けれども、
ものがあるかないかは言ってないよ(存在を含意しない)。
ということか。

本文を2回目に読むとおーわかる。
わからなかった自分とわかった自分がいます。
不思議な感じがしました。

投稿: すなぼうず | 2014年2月21日 (金) 14時39分

> 上記を単純にくっつけて
> ∀xP(x) ⇒ ∃xP(x)
> などとして、これを恒真だと信じてしまうと具合が悪い。

なんで?
どうして恒真じゃないの?

対象領域D={a1,a2,...,an}
(∀x∈D)P(x)⇒(∃y∈D)P(y)
≡¬(P(a1)∧P(a2)∧...∧P(an))∨(P(a1)∨P(a2)∨...∨P(an))
≡(¬P(a1)∨¬P(a2)∨...∨¬P(an))∨(P(a1)∨P(a2)∨...∨P(an))
≡T

投稿: | 2014年10月27日 (月) 11時50分

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