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resolution, 有効桁数, 弁別力

想定外に、シンポの本題とは違うところでまたネタを得た。

resolutionと有効桁数はどう違うか?同じか?
これに弁別力という概念も加えて3つで考えてみよう。

resolutionは分解能と訳される。resolutionはいろんな意味で使われるマイった言葉の1つなのだが、このシンポでの意味は分解能だ。この意味の用法は、工学だけじゃなくて、心理学などでも使われる。ソースっぽい分野での定義を調べると、

【分解能】 器械装置などで物理量を測定・識別できる能力。特に望遠鏡・顕微鏡などでは見分けられる最小の距離または視角をさし、分光器ではある波長のところで見分けられる最小波長差で、その波長を割ったものをさす。 三省堂 大辞林 第二版

となっている。光学測定だけでなく画像処理でも用いられる。ダイナミックなプロセスを扱う分野では、時間軸を入れたときに時間分解能というのを考える。よって音声分野でも使う。その他転じていろんな分野で使う。

有効桁数(有効数字)は、自然科学では精度precisionの概念と関係している。
簡単に言えば、どの桁まで誤差がないと見なせるか、である。
誤差がないというのは、真の値と同じである、ということである。(丸めた場合、最後の桁はこれに該当しない。)

最後に、弁別力とは、二つ以上の対象属性を区別する能力である。実際は確率的なものであるから、弁別できていると言えるかどうかの判断基準を立てるが、その基準は場合によってまちまちだ。

でまあ、厳密に言えば、どれも違うものだと思う。
しかし特定の文脈でこれらには強い結びつきがある。

resolutionは分解する(細かく見る)能力だが、物理量に数を割り当てる(=測定する)となると、有効桁数の話になる。つまりは、ごく普通の文脈では、分解能の高低と有効桁数の多少は単調増加関係にある。
しかし、有効桁数は、特定の進法や端数処理法にも依存することを忘れてはいけない。
弁別力は、resolutionと密接な関係にあるが、話が心理学に行くと、注意すべき点がでてくる。
心理学では、感覚器官のresolutionが弁別力を規定する大きな要因であるが、弁別力はそれだけでは決まらない。人間の判断は厄介なものだ。そしてまた、対象属性に対応する感覚器官が存在しない場合も多々ある。つくづく厄介なものだ。

それはそうと、心理・教育・社会科学分野の人たちは、有効桁数について非常に鈍感である。なぜなのかはよくわからない。
提示技法的な(椎名さん流にはhuman interface的な)理由で数値表示を少数桁にしろという話はたまに耳にするが、有効桁数の話は出てこない。
というか、有効桁数0桁とかがしょっちゅうだからか。こんな話、他の自然科学分野の人たちが聞いたら目を丸くするかもしれないが、3.51±1.54(この±は95%信頼区間とする)とか普通。だから0桁。しかもこれ、95%信頼区間だからね。残り5%あるからね。では、この小数点第二位までの数字は何の意味があるのか?さあね。
他の分野では、誤差範囲は、複数回測定するから比較的容易に出てくるけど(計算方法はまちまち)、心理ではまったく同じものの反復測定はほとんど行われない。それが可能な対象も少ないし。だから測定誤差単独の取り出しが難しい。
なもんで、psychophysicalな分野以外は有効桁数という用語が登場しないのかと思われる。でも公称値と不確かさの分離表記は根付いている。これはいいことだ。

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